葬儀における食事の席は、主に「通夜振る舞い」と「精進落とし」の二つがあります。どちらの席でも寿司が提供されることは多いですが、それぞれの席が持つ意味合いによって、寿司が果たす役割も少し異なります。まず、「通夜振る舞い」は、通夜の儀式が終わった後に、弔問に訪れてくれた参列者への感謝の気持ちを込めて、食事や飲み物を振る舞う席です。この席は、故人との最後の夜を共に過ごし、思い出を語り合うことで供養するという意味合いを持っています。通夜振る舞いは、一般の弔問客も参加するため、人の出入りが激しく、長時間にわたって行われるのが特徴です。このような場で、寿司は非常に機能的な食事となります。大皿に盛り付けられた寿司は、立食形式でも座敷の席でも、参加者が自分のタイミングで、好きなものを手軽につまむことができます。温かい料理のように冷めてしまう心配もなく、主催者側も細かな配膳に気を遣う必要がありません。また、オードブルやサンドイッチなどと共に、様々なメニューの一つとして提供されることで、食事の選択肢を豊かにする役割も果たします。次に、「精進落とし」は、火葬が終わった後、葬儀を手伝ってくれた親族や特に親しい人々、そして僧侶などを招いて、労をねぎらうための会食の席です。この席は、火葬を終え、故人が仏様になったという区切りをつけ、遺族が日常に戻るための第一歩という意味も持っています。仏教では、四十九日の忌明けまでは肉や魚を断つ「精進」の期間とされていますが、この精進落としの席では、その禁を解き、通常の食事に戻るという意味合いから、あえて寿司や刺身といった「生臭もの」が振る舞われるようになったと言われています。通夜振る舞いに比べて、より改まった会食の席となるため、寿司も一人前ずつ提供されたり、懐石料理の一品として組み込まれたりすることが多くなります。故人を偲ぶ大切な食事の席で、寿司はそれぞれの場面にふさわしい形で、その重要な役割を担っているのです。
通夜振る舞いと精進落とし、寿司の役割