葬儀に供える蘭と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、純白で大輪の胡蝶蘭でしょう。しかし、実際には胡蝶蘭以外にも、その場にふさわしい気品を持ついくつかの種類の蘭が、供花や祭壇のアレンジメントとして用いられています。それぞれの蘭が持つ特徴と、与える印象の違いを知ることで、葬儀における花の役割への理解がより深まります。まず胡蝶蘭は、まさに弔事用の蘭の王道と言える存在です。蝶が舞うような優雅な花の形からその名が付き、その花言葉は純粋な愛、清純。故人への汚れなき想いを表現するのに最適です。特徴は、なんといってもその圧倒的な格調の高さと、花持ちの良さです。一ヶ月以上も美しい花を咲かせ続ける生命力は、故人との思い出が長く心に留まることを象徴しているかのようです。花粉や香りがほとんどないため、アレルギーの心配も少なく、供花として最も安心して贈れる種類と言えます。一般的に、三本立てや五本立てといった奇数の本数で仕立てられた鉢植えが贈られます。次にシンビジウムは、胡蝶蘭ほど華やかではありませんが、上品で落ち着いた雰囲気が特徴の蘭です。すらりと伸びた茎にたくさんの花をつける姿は、凛とした気品を感じさせます。花言葉は飾らない心、誠実な愛情。故人の実直な人柄や、誠実な生き様を偲ぶ気持ちを表すのにふさわしい花です。胡蝶蘭と同様に花持ちが良く、香りも控えめなため、供花として非常に適しています。色は白や淡いグリーン、ピンクなどがありますが、葬儀の場ではやはり白色が基本となります。そしてデンファレは、胡蝶蘭やシンビジウムに比べると、やや小ぶりで可憐な印象を与える蘭です。茎の節々から蝶のような花をたくさん咲かせ、その愛らしい姿から人気があります。花言葉はお似合いの二人、わがままな美人など少し華やかなものが多いですが、その清楚な佇まいから、祭壇を飾るアレンジメントフラワーの花材としてよく使われます。故人が女性の場合や、家族葬などの温かい雰囲気の葬儀で、さりげない彩りを添える役割を果たします。これらの蘭は、単体で鉢植えとして贈られるだけでなく、菊や百合、トルコギキョウといった他の白い花々と組み合わせられ、祭壇や棺の周りを飾るアレンジメントとしても活躍します。故人の人柄や葬儀の雰囲気に合わせて、これらの蘭が持つそれぞれの個性が、静かに、そして美しく故人への想いを表現しているのです。
葬儀で見る蘭の種類とそれぞれの特徴