都内で紳士服店を営む店長に、葬儀用の小物についてお話を伺いました。最近の傾向として、急な訃報を受けて慌ててネクタイや小物を買いに来るお客様は非常に多いそうです。その際、タイピンも一緒に買った方が良いですかという質問をよく受けると言います。店長は、葬儀であれば基本的にはタイピンは不要ですと、まずお答えするようにしているそうです。しかし、長時間の移動を伴う場合や、屋外での葬儀で風が強いことが予想される場合など、実用的に固定したいという要望もあります。そのような方には、当店では葬儀専用の黒色タイピンをお勧めしていますと、店長は語ります。一般的なビジネス用のタイピンとは異なり、反射を抑えた漆黒のコーティングが施されており、付けていても目立たないように工夫されています。また、販売現場で驚くのは、年配の方よりも若い方の方がマナーに対して非常に敏感であるという点だそうです。失敗したくない、失礼なことをしたくないという思いが強く、タイピン1つの色味にも細心の注意を払う方が増えています。店長は、マナーを完璧に守ることも大切ですが、それ以上に清潔感と、場に合わせた落ち着いた雰囲気作りを大切にしてほしいとアドバイスしています。例えば、タイピンを付けない代わりに、ネクタイのノットを少し小さめに固く結ぶことで、緩みを防ぎ、だらしない印象を回避できます。また、シャツの第1ボタンをしっかりと留めることも、タイピンの有無以上に印象を左右します。弔事用の小物は、1度揃えれば長く使うものですから、最初から目立たないシルバーのマット仕上げなどを1つ持っておけば、万が一の時にも対応できるでしょう。しかし、結論としてはやはりタイピンなしが最も無難であり、どのような格式の葬儀であっても間違いのない選択となります。店長は最後に、ネクタイピンを探すお客様の多くは、故人に対して失礼のない格好をしたいという誠実な思いを持っています。その思いを大切にしつつ、余計な装飾を削ぎ落としていくアドバイスをすることが、私たちの役割ですと締めくくりました。専門家の視点からも、タイピンは引き算の美学の一部であることが確認できました。
メンズショップ店長に聞く葬儀用タイピンの選び方と販売現場の声