最近の葬儀、特に「家族葬」や「直葬」では、案内状の中に「御供花、御香典の儀は固くご辞退申し上げます」といった一文が添えられていることが非常に多くなりました。これは、遺族が参列者に金銭的・精神的な負担をかけたくないという配慮から、あるいは香典返しの事務作業を省略して故人との時間に集中したいという願いから行われるものです。これに対する返信は、非常に慎重な判断が求められます。日本人の気質として「そう言われても、何もしないのは申し訳ない」と感じ、無理に香典を包んだり、勝手に花を送ったりする人がいますが、これはマナー違反どころか、遺族に対する「暴力的な親切」になりかねません。返信の際には「ご意向、謹んで承知いたしました」と述べ、一切の金銭や品物を送らないことを明確にします。その代わりに、言葉による弔意を普段よりも少しだけ手厚くします。香典という形あるものに頼れない分、あなたの「言葉」が、弔意のすべてを担うことになるからです。返信の文章に「お返しのご負担などを考え、お香典は控えさせていただきますが、心よりお悔やみ申し上げます」といった一言を添えれば、あなたがルールを理解した上での配慮であることが伝わり、遺族も安心します。どうしても何かをしたいという気持ちが抑えられない場合は、葬儀が終わってから、初七日や四十九日、あるいはお盆などの節目に、返礼不要を明記した上で、数千円程度の消えもの(お線香やキャンドルなど)を送るという選択肢を検討してください。しかし、現時点での返信においては、遺族の提示した「辞退」という境界線を絶対に越えないこと。それが、今の遺族が最も求めている「助け」なのです。何もしない勇気、形に頼らない弔意。それが、これからの新しい時代の葬儀マナーとして定着しつつあります。自分の「したい」というエゴを捨て、相手の「してほしくない」という願いを叶える。その利他的な返信こそが、最高の供養となるでしょう。
供花や香典を辞退された葬儀案内への返信のあり方